未来社会への取り組み
CO2排出量削減に向けて
2016年に発効された『パリ協定』では世界全体で取り組む目標として以下の2つが掲げられました。
- 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
- そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる。
このパリ協定の枠組みを受けて、日本でも目標が定められました。
日本の中期目標としては2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度の水準から26%削減することが定められたのです。
5つの重点領域
日本がパリ協定の目標達成のために、2020年1月21日に策定されたのが、エネルギー・環境分野の技術開発を推進する「革新的環境イノベーション戦略」です。
「革新的環境イノベーション戦略」は、技術開発目標を示した「イノベーション・アクションプラン」と、それを強力に後押しし、実現を加速するための「アクセラレーションプラン」、および「ゼロエミッション・イニシアティブズ」の3本柱で構成されています。
「イノベーション・アクションプラン」では5つの重点領域でテーマが設定されており、なかでも水素はエネルギーとして利用できるだけなく、日用品の生産など産業分野での活用も期待されています。
水素社会の実現に向けて
イノベーションアクションプランの5つの重点領域の中で、運輸・産業・発電など様々な分野での活用が期待される水素ですが、既存エネルギーと同等のコストを実現するために下記目標が設定されています。
■目標コスト:製造コスト1/10以下
■CO2削減量:60億トン/年
また、技術開発の側面からは、
・天然ガス等から水素製造技術のコスト削減・効率向上
・圧縮水素、液化水素、有機ハイドライド、アンモニア、水素吸蔵合金 等の輸送・貯蔵技術の開発
・国際的なサプライチェーンの確立
・燃料電池の高効率化、水素発電の低NOx化、人工光合成の利用
が期待されます。